認知症初期 父の每日1

認知症初期のような変化があったのは在宅診療の熊先生が往診するようになり1年ほどたってからだった。在宅診療で容体は落ち着いてはいたものの、改善もしてはいなかった。

元々、父は、家の自分の部屋が大好きな子供部屋おじさんだった。だから家に籠もることは、見慣れたことだった。

そんな父の生活はというと

朝は起きて、2階の奥の自部屋で、母の運んだ朝食を食べ、昼も母が運んだ昼食を食べ、夜も同様だった。

食べたものは部屋の外の棚にポイッと置くだけ。

仕事は午前中にしていたと思う。

終わると暇な時間はゲームをしたり、テレビを見たり、昼寝したりしていた。

父は自分なりのルーティンをすごく重視していて、時間も決めていた。

朝食は7時15分、

昼食は11時半、

夕飯は16時半、

お風呂は18時半

少しでもその時間が遅れると母を怒った。

頭が良い父は、口も達者なので、自分の思い通りにならないと癇癪をおこして、家族を思い通りに支配していた。

私も兄も子供の時から、父の顔色ばかりをうかがい、普段から怒らせないようにしていた。

真っ赤な顔をした父にネチネチと30分〜1時間は怒鳴られ、説教される。恐怖だ。

私は自分の意思とか気持ちをキチンと聞いてもらったことが無い。議論したこともない。

それほど父は絶対的だった。

いつも自信満々だから宅配の自営業もうまくいっていると思っていた。

そんなある日、父が個人事業主としての3月の青色確定申告が出来ないと母から電話があった。

祖父の自営業を引き継いでから、ずっとやっていたことなのに今年はどうしても数字が合わないので、私に来て手伝ってほしいという。

私は子供を旦那の祖父母に預けて実家に向かった。

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