病院嫌いの父7

病院嫌いの父

父がやっとその気になった

クリニックに電話し、

「やっと父が診察を受ける気になりました!」

と言うと女性スタッフの方も

「良かったね!善は急げだね!」

と喜んで下さり、すぐに初診の日が決まった

4月のことだった。見学のクリスマスイブから3ヶ月もたっていた。

家族同士というのはお互いの性格をよく分かっているが故に甘えも出てしまう。しんどいと言う者に、きつく言えないが故に後々、良くない事態を引き起こすこともある。厳しさも時に必要だと分かってはいるのだが。時間は残酷だ。

在宅勤務でぼちぼち仕事はしているが、引きこもりで、ひねくれ者の父に会いに来る人は誰もいなかった

初診当日は私も立ち会うことにした。

若い先生や看護師さんがわざわざ自分のために家に来てくれる…

それだけで父が高揚していることが分かった。

先生にはその時、初めてお会いした

ガッチリした体型にキュートな笑顔で熊さんのような先生だった。熊先生と呼ばせてもらおう。

熊先生は礼儀正しく、高齢者の対応も手慣れているようだった。

仏間に敷布団を引き、診察は始まった。

父のプライドを上手に持ち上げ、最近の体調や、仕事のペースなど傷つけないようやんわり対応して下さった。

「また来月も来ますね。何か変わったことや体調に変化があればいつでも連絡してくださいね。よろしくお願いします」

と言って、熊先生は帰って言った。

初診当日に行ったのは、問診と血圧測定と血液検査だった。

病院嫌いの父だが熊先生のことは気に入ったようだった。

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