病院嫌いの父6

病院嫌いの父

これなら気難しい問題児の父をおまかせできるかもしれない!

実際にクリニックの方に会えたので、私はなんだか大丈夫な気がして来た。あとは本人の同意だ。

ただ私には少し自信があった。

父が先生のような若くて優秀な人が好きなことを知っていたからだ。近所のおじいちゃん先生とは違うのだ。

おまけに先生は、私と同じ出身高校だった。学歴重視の父に地味に響くはずだ。

母と電話で日々連絡をとりつつ、父の機嫌の良さそうな日を作戦決行日にした。

父の好きそうな食べ物を買い、実家に向かった。まずは食べ物で機嫌をとりつつ、在宅診療という診察方法があることを伝えた

クリニックのパンフレットを父に渡して言った

「市の総合病院の救命科にもいた優秀な先生だからきっと安心だよ!」

「ふーん」

とあまり興味なさそうにチラリとパンフレットを横目で見た

「家に来てくれるから、病院には行かなくて良いんだよ!先生も看護婦さんも優しかったよ」

先生には会ってないけど

「へえ」

まだ弱いか

「往診のお金は私が払うからさ!」

露骨に嬉しそうな顔をした

「まあ、じゃあ好きにしたら」

「…それは、じゃあ良いってことだね?」

「うん…まあまあ、もういいから!この話は終わり!」

一応、話はまとまったようだ

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