封建的で頑固な父はわがままだった。
そのくせビビリで体調を崩しても病院には頑なに行こうとしなかった。高血圧の薬をもらうために近所のおじいちゃん先生のいる小さな病院か、歯槽膿漏で入れ歯のため歯医者にせいぜい行く程度。
その高血圧の薬でさえも、本来、定期的に本人が診察を受けなければ処方箋を書いてもらえないはずなのに、ある時、おじいちゃん先生に大ゴネして、それからは母が代理で行けば良いことにした。無理やり。
そんな父の性格をよく知っていたので、私は放っておくことにした。
突然倒れられたりしても困るのだが、それよりわがままな父の相手をしたくなかった。
そんなある日、母から、電話が鳴った。
「お父さんがあんたを怒ってるのよ!ワシがこんなことになっているのに、このまま放っておくのか、って」
そう来たか。
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